集団的名誉毀損のメモ

アメリカ・イリノイ州スコーキー(Skokie)村におけるナチス

(1)背景
ホロコーストの生存者が多くスコーキー村は、ネオナチのデモの差し止め命令を裁判所に求め、人種的憎悪を扇動する集団のデモを禁止する条例を制定。これに対してアメリカ自由人権協会(ACLU)はデモの制限の合憲性を争う。
(2)連邦地裁判決
デモの制限を違憲無効と判断。「政府は個人の評判を傷つけたり、治安妨害を扇動したりする言論は罰しうる」が、集団に対する名誉毀損は処罰することはできない。

(3)課題
リベラル色の強い法言語の中では、「集団の名誉」という集合的なアイデンティティは認められにくい。

■参考資料
We Are Coming: Nazis, Skokie, and the First Amendment
D.Downs,Nazis in Skokie,University of Notre Dame Press, 1986
M.J.サンデル『民主政の不満(上)』第3章、p107-108


■付記
This Divided State(邦題:アホでマヌケな大統領選)
強い保守色を持つ町においてマイケル・ムーアのようなリベラルな言説を受け入れることはできるか。