地方自治から見た東村山事件の困難さ

いわゆる東村山事件の本質は、公職者が騒動の中心人物にあるということだろう。適正を欠いた公職者が存在する場合、我が国の地方自治制度は、リコール(解職請求)を用意している。

しかし、リコールは成立しづらいのが現状。地方自治の分野では、人口が3万以上を超えると、法定署名達成件数が激減することがよく知られている(なお、人口30万以上でのリコールは皆無)。人口約15万を抱える東村山市の場合、リコールが成立する可能性は極めて低い。*1

自治体の適正規模は、地方自治における最も難しい問題の1つであるが、管見の限り、地方自治の専門家(行政学行政法など)の間では、この問題は真剣に議論されているとは言えない状況であろう。

*1:「指定都市と県−都市型社会における都市と府県の役割分担と協働のあり方」『季刊自治体学研究』(神奈川県自治総合研究センター)第48号、今井照『「平成大合併」の政治学』(公人社